稲本 健一
本来なら今日も笑顔で生きているはずだった方々が 突然 命を失う無念。
私には想像すら出来ません。
突然、愛する家族や友人を目の前で失ってしまった方の気持ち。
私には想像すら出来ません。
故郷を、そして我が家を泥流で流されながら避難所で生活するつらさ。
私には想像すら出来ません。
３月１１日 東京のオフィスで揺れを感じた瞬間から
たくさんの人々が大きな流れとなって徒歩で帰宅する姿。
いつも当たり前のように目の前にあった食料や水が手に入らなくなった数日。
存在すら意識していなかった看板や電灯が消された薄暗い街の寂しさ。
そして訳の分からないまま情報に踊らされる放射能への恐怖・・・
都内にいて感じる事、不便な事、たくさんありました。
でも、そんなこんなを話す度に「でも東北の人に比べれば我々なんてねぇ」なんて簡単に話してました。
何名かの友人が実際すぐに被災地に行き直接支援をしていました。
直接支援は邪魔になるだけ！などと言われても、特に故郷が東北の人たちはもちろん動きます。
もし私の生まれ故郷・金沢が同じような状態だったら歩いてでも現地に駆けつけるでしょう。
今回の震災に対して、非常に早急かつ的確に支援を始めたピーチジョンのミカジョン社長に相談し被災地への支援に行ってきました。
以下はその報告です
宮城県石巻市
ここは今回の震災でもかなり大きな被害を受けた地域です。
特に津波での被害は大きく何度もテレビで放送されています。
ライフラインが寸断された地域への支援のため、調理が出来る特殊車両に、現地ではもっとも手に入らない燃料をタンク４個に８０リットルつめて深夜に出発しました。
首都高から東北道に入るといつも以上にトラックが多く一般車はまだまばら。
電灯の消えた高速を走り福島に入ったあたりから道が微妙にうねり、たくさんの亀裂が入った道の衝撃が何度も・・
あまり速度が上げられない中やっと仙台にさしかかると、やはり街中では、橋や交差点付近に亀裂が入っている。
ところどころまだ停電しており、コンビニや商店がシャッターを下ろした街を抜けて石巻へ。
内陸は農業地帯の為、瓦の落ちた家や道の破損はあるものの案外大丈夫だなー・・などと想いながら、ある川を超えたとたん街は一変します。
震災津波から数日経過した今も、そこにある景色はメディアで見るそのもので、泥でまみれ所々が寸断された道、どこから流されてきたか分からない車と車が重なり合う横には何艘かの船が・・・。
流されなかった家の前にも泥まみれの家財が積み上げられ、そこに大量の砂ホコリがまい、海水と泥と瓦礫の混ざった匂い・・
延々と続く見た事もない悲惨な景色に津波被害の恐ろしさを感じました。
そして、復興するには途方もなく気の遠くなるような険しい道を・・
街を少しはなれた高校の体育館が最初にうかがった避難所でした。
今回、私達の支援は避難されている方に暖かい揚げたてのマラサダを食べていただく事。
毎日の疲れを一瞬でも暖かく甘い食べ物で癒す事が出来れば・・
特に子供たちにはぜひ食べてほしい！そんな想いです。
用意するあいだ、子供たちが嬉しそうに見に来たり、男性の方には「俺甘いもの苦手なんだよなっ」とか言われたりしながらもマラサダを揚げる。すると、おじいさんおばあさんや、さっき苦手といっていたおじさんまでニコニコ笑って食べてくれました。特に子供たちは何度も列に並び、ありがとう！と言ってくれる。
そこにいる方は何らかの被害で家に住めなくなった人達です。大切な人を無くした方も沢山居ます。でも、少しの瞬間は笑顔で居ていただけました。次の避難所でも沢山の方にマラサダを食べてもらいました。
この避難所に着いてから何度も話しかけてくる初老のオヤジさんが居ました。
用意をしてる時も、かたずけをしている時も色んな事を教えてもらいました。
かたずけ中に雪が降ってきました、するとそのオヤジさんが「良くがんばってくれたからカップラーメン食べてけ！」と言ってくれました。
もちろん、貴重な物資なので頂く訳にはいきません。それでも「ここは電気と水道までは復帰して、お湯は沸かせるんだから食べてけ！」と...
実は避難所に到着した時も、今回お世話になった石巻市役所の方から、何にも出来ないけどこれをどうぞと言っていただき、大きな手作りオニギリと貴重なペットボトルのお茶を頂きました。
なんて、人達なんだろう、、、
自分達の食料も飲み物もままならない中、すぐに東京に戻って暖かい物が食べれる私達に精一杯の気使いをしてくれる。
頂いた、そのでっかいおにぎりは本当に美味しかった。
最後に何度か話したオヤジさんに私は言いました
がんばって下さい！と、それしかもう言えなかった、、、
するとオヤジさんは私の手を握り
がんばれよ！！
と、、、、
東北石巻の地を励ましに行き、励まされて戻ってきました。
街は人が創る。
あの、素晴らしい人達が住んでいる街
そして、これから復興していく東北の街
微力ながらこれからも東北、そして日本の復興に必らずや力になれる事を
心に誓います
石巻市役所の方々。
今回サポートしてくれたミカジョン、そしてミカジョンチームのみなさん。
避難所で沢山の笑顔を頂けた方々。
本当にありがとうございます
稲本健一